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針葉樹の間伐

間伐のすすめ方

 最も一般的なスギの3,000本植えについて、いつ、どのように間伐を進めていくかを検討してみましょう。

針葉樹(杉)の間伐

1回目(15年生頃)―切り捨て間伐
 植栽後15年頃に、本数にして30~35%(全体の本数の30~35%を伐採する)の切り捨て間伐を行います。間伐対象木は、形質の良好な将来性のある木の生育を妨げそうな木と、将来性のない劣勢木を中心とします(下層間伐)。
 この切り捨て間伐は収入は伴いませんが保育上重要で、絶対に省略してはなりません。この間伐を行わないと、心持ち柱材の利用径級に達した時に、林分構成木中の不良木の比率が高くなってしまい、そこでまた間伐意欲がそがれて、いよいよ低質の林分に陥り、悪循環を招きます。また、この間伐は風害、冠雪害など諸害に対する耐性を高めるためにも重要であり、林床植生を絶やさないためにも、物質循環の促進(林地への養分の供給)のためにも意味が大きい作業です。
 伐倒木はできるだけ斜面の横方向に寝かせます。表層度や養分の斜面方向への移動を抑えるためです。

2回目(25年生頃)
 2回目の間伐は平均胸高直径が17cmぐらいになった時(25年生前後)に、本数にして30~35%を間伐します。この径級に達すると、心持ち柱材1玉が収穫できます。1回目の切り捨て間伐がしっかり行われていれば、今回の間伐で収穫の歩止まりは高く、早期の収入が得られます。

3回目(35年生頃)
 心持ち柱材2玉が収穫できる大きさ、すなわち胸高直径が22cmぐらいになったとき(35~40年生)に35~40%の間伐を行います。この間伐によってha当たり800本ぐらいの木が残り、これらの木は大径材として15年間隔、本数割合で25%ぐらいを間伐する、といった頻度と強度で収穫していくことが可能です。ただし、林齢が増すにしたがって間伐強度と頻度は弱く、低くするのがよいでしょう。大径材は無節率が高くなり、良質材の条件が増していくとともに、どのような需要にも応じられる採材の自由度が高まります。
 このような間伐を進めていき、本数がha当たり300本よりも少なくなってきたら、間伐するごとに伐った跡地に複数の苗木を植えていくとよいでしょう。それを繰り返していくうちに択伐林的な森林ができていきます。そのような状態になるのは植栽後100年を過ぎる頃からです。

針葉樹(杉以外)の間伐

 ヒノキについてもほぼ同じ考えで施業を進めることができます。
 ただし、ヒノキの場合は成長速度が少し遅いために、各回の間伐時期(年次)がやや後ろにずれること、良質材生産を目指すことが多いために、植栽密度を高く、間伐回数を増やすことが多いこと、などが特色としてあげられます。
 エゾマツ、トドマツもスギに準じて考えればよいでしょう。
 アカマツとカラマツは陽性樹種で、その分成長につれて各個体に十分な生育空間を与えてやることが重要です。
 しかし、心持ち柱材としての価値がないため、大径材になるまでの間伐は切り捨て間伐の要素が強くなります。
 また、アカマツ林とカラマツ林は林床に光を通しやすいので、その林内にスギやヒノキなどを植栽して復層林に誘導していくのには適しますが、陽性樹種であるアカマツとカラマツを下木として植栽することはできません。

間伐は、森林生態系を維持する技術

 従来は3回目の間伐のところで、間伐ではなく主伐を行い、その跡地にまた一から植栽を行っていました。
 しかし、せっかく成立させた森林生態系です。 これを大事に維持しながら間伐収穫を進めていくことが大切です。
 植栽後40、50年で主伐(皆伐)するということは、生産するたびにせっかく作った生産工場(森林生態系)までつぶしてしまうに等しいことです。
 農業は農地が生産工場であるのに対して、林業は森林生態系が生産工場であるという認識が必要です。
 植栽、下刈り、つる切りという多大な労力と経費をかけて成立させた森林を、長期にわたり、最大限有効に活用しながら収穫を続けていくのが最も経済的な施業法です。そのことは、土壌・水資源の保全や生物多様性など多様な森林の機能の発揮のためにも大事なことです。
 その意味で、間伐は収穫技術として、また健全な森林生態系を維持する技術としてきわめて重要な意味をもちます。
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