本文へ移動

つり切り、除伐、雪起こし

つる切り

 下刈り作業において、つる植物も同時に刈り取っておく必要があります。
 植栽木が雑草木の影響を受けない大きさになると下刈りは終了しますが、植栽木の樹冠同士が完全に接して林床が暗くなり、つる植物が侵入生育できなくなるまではつる切りを続けなければなりません。下刈り終了後、隔年に2回ぐらいはつる切りが必要です。

つる切りの必要性

植栽木の樹冠同士が完全に接し合うまでの更新初期に見られるつる植物には、クズ、フジ、ミツバアケビなどの巻き付き型のものが多く、クズを除くと幹に食い込むタイプの被害を与えます。
 つるが食い込むと、樹木の光合成で作られた糖分の通り道である内樹皮が障害を受け、食い込み個所より樹木下部への糖分の移動が阻止されてしまいます。
 そのために、その上部が異常肥大し、食い込みと異常肥大がセットになって奇形を呈し、材の利用価値はほとんどなくなり、さらに風や雪などで折れやすくなります。また、クズや、ブドウなどの大型の葉は植栽木の樹冠を覆い、光合成を妨げて成長減退を引き起こします。
 樹冠が閉鎖した後も少し明るい場所では、イワガラミ、ゴトウヅル、テイカカズラなどの幹に付着して登ってくるタイプのつる植物が徐々に勢力を増すことがあるので、常に観察が必要です。ただしこれらの成長速度は遅く、樹冠に達するまでに10年以上かかるのがふつうであり、食い込み型のつるに比べれば1、2年の手入れの遅れが致命的になるということはありません。

つる切りの作業

 つるはナタで切りますが、その作業に伴い幹に傷をつけてはなりません。幹に傷をつけるとその場所から変色が生じ、材の価値を下げるからです。つるはその地際部を探し求め、そこで切り、幹に食い込み始めたつるは必ず幹から取り除くようにします。
 そうしないと幹の成長につれてつるが幹に食い込み、幹の価値は著しく低下します。
 つるの制御効果を高めるためには、つるの切断面に除草剤処理を行うと効果的です。また直接つるに除草剤処理することもあります。

除伐

除伐は、林分の込みすぎを緩和し、形質のよい将来性のある木の生育条件をよくするために、目的樹種以外の侵入樹種を中心に、形質の悪い木を除去する作業です。

間伐との違い

 間伐は目的樹種を中心に伐採が行われるのに対して、除伐は目的樹種以外の樹種を中心に伐採されるところにあります。
 人工林施業では下刈り作業が十分にされていれば、ふつう除伐は必要ありません。

雪起こし

 雪起こしは、雪圧によって倒伏した幼齢木を起こし、縄などで固定して、木を垂直に育てる作業です。
 雪解け後直ちに作業しないと幹の肥大成長が生じて、もとに戻らなくなったり、幹に傷がついたりします。

 まず、倒伏木の斜面上部のかん木の根元などに縄を結び、縄の反対の端を手で引き、起こした木の枝の基部に結び付けて木を固定します。このとき、幹が垂直よりも山側に傾いて固定されると次の年の被害が大きくなるので、そうならないように注意することが必要です。
 ただし、次の積雪期まで固定したまま放置しておくと積雪で折れたり、奇形を呈したりするので、秋には縄を外さなければなりません。針金は幹に食い込むので使ってはなりません。
 倒伏と同時に山側の根が浮き上がることが多いので、根を土の中に戻して、その上に土をかけ、両足でよく踏み固めます。作業は水平方向に行き来するのが能率的です。
 樹高が最大積雪深の2.5倍になれば雪起こしは行わなくてもよくなります。例えば最大積雪深が1.5mであれば、樹高は3.5~4mということです。
 ヒノキは積雪に弱くて多雪地帯では育ちません。スギは多雪地帯でもよく育ちますが、最大積雪深が1m以上になると雪起こしが必要になります。
 雪起こしは大変な作業であり、最大積雪深が1.5m以上の場所では、人工林の造成に際しては雪起こしの作業に対応できるかどうかよく検討する必要があります。
 最大積雪深が2m以上の場所では、特に必要のない限り人工林の造成は避けた方がよいでしょう。

1
3
9
5
6
6
大田市森林組合
〒694-0064
島根県大田市大田町大田 1047番地3
TEL.0854-82-8500
FAX.0854-82-8013

───────────────
森林組合事業
───────────────
TOPへ戻る